ホスピスと緩和ケアの違い、そして在宅でできること——「治す」から「支える」へ、迷いなく進むために
- 恭祐 昼八
- 8月26日
- 読了時間: 4分

1)ホスピスと緩和ケア、ほんとうは何が違う?
緩和ケア(Palliative Care)痛み・息苦しさ・吐き気・不安・不眠などのつらさを和らげて生活の質(QOL)を上げる医療。がんに限らず、心不全・COPD・腎不全・ALSなど幅広い病気が対象。病気の経過の早い段階から治療と並行して導入できます(=「最期だけ」ではありません)。
ホスピス/緩和ケア病棟いわゆる人生の最終段階に特化した入院施設(病棟)。身体症状や不安が強く、入院環境のほうが穏やかに過ごせると判断されるときに選択肢になります。音や光、面会、食事など“その人らしさ”を優先できる設計が特徴です。
在宅ホスピス(在宅緩和ケア)自宅を“最期の場所”にしたい方のための緩和ケア。訪問診療と訪問看護がチームで関わり、症状コントロール・家族支援・24時間連絡体制で支えます。
要するに:緩和ケアは「考え方・技術」、ホスピスは「場所(しくみ)」。緩和ケアという考え方は、外来・病棟・在宅のどこでも使えます。
2)「いつ相談すればいい?」迷ったら早めでOK
次のどれか一つでも当てはまれば、緩和ケアを早めに併走させる価値があります。
痛み・息切れ・吐き気・不眠・不安が日常を妨げている
入退院をくり返す不安がある、夜間の不調が怖い
「治療の話」だけでなく、暮らしや仕事・学び・家族の心配を聴いてほしい
家で過ごす時間を増やしたい/家で最期までを考え始めた
医療者・家族と**“これから”の話(ACP)**を整えたい
早く始めるほど、症状や不安の波を小さくできることが多いです。「まだ早い?」「治療と両立できる?」——できます。
3)緩和ケアが大切にする4つの柱
身体症状の緩和:痛み・呼吸困難・吐き気・不眠などを薬物療法+非薬物療法で整える
心理・社会的支援:不安・抑うつ、介護負担、仕事・学業・金銭面の整理
スピリチュアルケア:意味や希望、怖さに寄り添う対話
家族ケア:介護の手当て、休息(レスパイト)、看取り後の遺族支援まで
4)在宅でできること(逢縁クリニック/訪問看護の実際)
定期訪問+必要時の緊急往診:症状の波に合わせて密度を調整(月1回からでもOK)
痛み・息苦しさのコントロール:薬の微調整、貼付薬・内服・持続皮下注などの設計
吐き気・不眠・不安への対応:生活リズムや環境調整も“効く治療”
24時間の連絡体制:夜間の不安は“誰かが知っている”だけで軽くなる
ACP(人生会議)支援:希望の場所・望む/望まない医療・“大切にしたいこと”を見える化
場所の切り替えも一緒に:在宅⇄緩和ケア病棟(ホスピス)をブリッジング└ 自宅で穏やかに過ごしつつ、つらい波だけ短期入院という選択も可能です
5)誤解をほどく3つのメッセージ
「緩和=あきらめ」じゃない生活の質を上げることは、治療の価値を高めることと矛盾しません。
家族の“つらさ”も治療対象介護負担・不眠・不安——家族の楽さは、本人の穏やかさに直結。
最期の医療は“引き算”が効く点滴・検査・移動…「やらない勇気」で苦痛を減らせることがある。
6)費用や制度は?(ざっくりの見取り図)
訪問診療・訪問看護は保険適用(医療/介護)
病状・自己負担割合・公費(難病、障害、医療費助成)で実負担は変動
高額療養費制度などの対象になるケースも→ 個別に最適な組み合わせをご提案します。まずは不安ごと相談でOK。
7)今日からできる“準備”チェックリスト
□ いちばん落ち着く場所は?(自宅/病院/施設)
□ 誰と、どの時間を大切にしたい?
□ 絶対に避けたいことは?(例:延命処置、管の追加 など)
□ 困ったとき、まず誰に連絡する?(連絡票を冷蔵庫に)
□ 家族が一人になれる時間・手助けの人は?
すべてを決めなくて大丈夫。“いまの気持ち”を言葉にしておくだけで、いざという時の舵取りが楽になります。
最後に。ホスピスも緩和ケアも、「命の時間に寄り添う医療」です。“その人らしく”を守るために、早めの伴走を。迷ったら、短い相談からはじめましょう。
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