建前だけの“かかりつけ医”を、どう本物にしていくのか?|よく相談を受ける話題なのでちょっと書いてみよう
- 恭祐 昼八
- 4月3日
- 読了時間: 4分
逢縁クリニック事務長の昼八です!
ケアマネジャーさんやソーシャルワーカーさん、在宅に携われる方たちと話をしていくとこんな話題が出るんですよ
「かかりつけ医」って結局なんなの?みたいな話題
ちょっと専門性の高い内容になりそうなので活字が無理な人はスキップ!
結論としては、名ばかりかかりつけ医が多いから制度を導入してどうにかならんもんか国が試行しはじめているよってことです
【1】「かかりつけ医」が必要とされる時代に
地域包括ケア、高齢化、慢性疾患の増加…。「なんでも相談できる身近な医師」が求められる時代に、かかりつけ医機能の強化が叫ばれている。2024年度改定では、かかりつけ医機能を“見える化”しようとする動きが本格化している。
【2】制度の整備と、現場の温度差
かかりつけ医機能の明確化には、以下のような要件が求められるようになってきている:
時間外対応
医療・介護連携
健康管理計画の策定
服薬管理
制度としては理にかなっているが、現場からは「それを全て担える体制が整っていない」という声も少なくない。
【3】“かかりつけ医”と名乗る難しさ
「うちはかかりつけ医です」と標榜すること自体が、プレッシャーになるケースもある。特に小規模診療所では、医師1人、スタッフ数人で日中外来・訪問診療をこなし、夜間対応まで担うのは現実的ではない。制度に対応しようとすればするほど、現場の疲弊を招くことも。
【4】じゃあ、どうすれば「本物」になれるのか
制度に適応しつつ、無理をしすぎない持続可能な形とは──
地域の他職種(訪問看護、ケアマネ、薬剤師)との連携強化
ICT活用による情報共有・患者管理の効率化
「24時間いつでも」ではなく「必要なときに安心できる」仕組みづくり
小規模な診療所同士のネットワーク化・グループ診療という選択肢
【5】かかりつけ医を“制度”で終わらせないために
制度改定はあくまできっかけにすぎない。「患者さんにとって、自分の生活を理解してくれる存在」こそが本来のかかりつけ医の姿。今後の医療制度は、医療者側の声にどこまで耳を傾け、伴走できるのかが問われている。
かかりつけ医制度のこれまで
厚労省が想定する「かかりつけ医」は、以下のような役割を担う“地域に根差した医師”:
日常的な健康相談や診療を継続的に行う
病状の変化を早期に察知し、適切に専門医や病院と連携
医療・介護・福祉との橋渡し
在宅療養支援や看取りも視野に入れる
しかし現在の制度では、「かかりつけ医」という資格や明確な定義は存在せず、誰でも名乗れてしまうという曖昧さが課題とされてきた。
まぁでも現実問題
「風邪のときに行くクリニック?」「なんとなくいつも行ってるとこ?」
“かかりつけ医”という言葉、世間的にはふわっとしすぎ。
患者も「特にいないけど?」、医者も「まあ、うちってことでOKでしょ?」みたいな空気
というのが昼八のイメージです
かかりつけ医制度の現状
■ 2024年度 診療報酬改定のポイント
2024年4月に始まった診療報酬改定では、「かかりつけ医機能の明確化」が主要テーマのひとつ。
🧭 改定の方向性:
かかりつけ医機能を持つ医療機関を「外形的」に明示
対応時間、連携体制、管理計画の策定状況などに基づき、患者や地域に「見える化」する。
新たな報酬加算の創設・拡充
条件を満たす機関には、加算がつく(たとえば地域包括診療加算や外来対応医療機関加算など)。
🏥 条件として求められる機能:
24時間の連絡体制(または緊急対応)
地域医療機関との連携(在宅・訪問・介護事業者など)
医療情報の一元管理(服薬状況など)
健康管理計画の作成・支援
地域住民や患者への情報発信・同意取得
ICTの活用(今後さらに強化される方向)
■ 代表的なかかりつけ医関連の診療報酬(2025年時点)
区分 | 内容 | 点数 |
地域包括診療加算 | 高齢者の慢性疾患を包括的に診療 | 1,150点/月(例) |
外来対応医療機関加算 | 地域の医療提供体制に貢献している外来診療所向け | 30点(再診) |
機能強化加算 | 地域でのかかりつけ医機能を備えていると評価されると算定可 | 80点(初診) |
かかりつけ医制度の今後
■ 登録制度(これから導入予定)
厚労省は「患者が自ら、かかりつけ医を登録する制度」を導入予定(時期未定、モデル事業段階)。
患者が1名の医師(医療機関)を“登録”することで、その医師が責任を持って一元的に診療を管理。
登録制により、かかりつけ医機能を持つ診療所に対して医療資源を重点配分できるようにする。
※登録制に対しては、以下のような懸念の声も:
「医療機関の選択の自由が制限されるのでは?」
「患者にとって負担感がある」
「登録された側が責任を過剰に背負う懸念」
逢縁クリニックが思い描くかかりつけ医像
本物のかかりつけ医は、制度で作られるものじゃない。と考えてます。ちょっとエモくなりますが
「この人に診てもらいたい」と思われる関係性が、地味だけど最強。
「顔と名前が一致する医者」、その価値を取り戻せるかどうか。
うちに所属している先生はみんな逢縁先生~!とか呼ばれちゃう世界線がいいなとか思うわけです。
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