【連載Vol.4】費用と制度がややこしい?
- 恭祐 昼八
- 2 日前
- 読了時間: 4分

「3つの財布」でスッキリ整理。訪問診療への賢い移行ガイド
「在宅にしたらお金はいくらかかるの?」——最初に出る不安のひとつ。結論から言うと、費用は“医療・介護・公費”の3つの財布で設計すれば迷いが激減します。さらに、**通院コスト(移動・待ち時間・付き添い)**まで含めて考えると、総負担はむしろ下がるケースが多くあります。
1|まずは「3つの財布」を理解する
医療保険の財布 訪問診療、院外処方、医療保険での訪問看護(病状による)など。 自己負担は原則1~3割。上限は高額療養費制度で調整可能。
介護保険の財布 ケアマネ、訪問介護、通所系、介護保険での訪問看護、福祉用具、住宅改修など。 自己負担は原則1~3割+月の支給限度額内。超過は全額自己負担。 年間で一定額を超えると高額介護サービス費の払い戻し対象。
公費・助成の財布 難病・障害・特定疾患等の医療費助成、自治体の助成、減免制度など。 医療と介護の両方と併用でき、実負担が大きく下がることがあります。
ポイント:医療の財布と介護の財布は別レーン。「医療で使えないから終わり」ではなく、介護/公費で補う設計が肝。
2|月額イメージ(あくまで目安)
訪問診療:自己負担1~3割。月1~2回の定期訪問+必要時往診。
訪問看護:医療 or 介護どちらの枠で使うかで計算が変わる(主治医意見と状態で決定)。
福祉用具:ベッド・マット・手すり等は**レンタル(介護保険)**で自己負担小さめ。
住宅改修:手すり・段差解消など上限内の補助あり(事前申請必須)。
※世帯・負担割合・認定区分・助成の有無で大きく変動します。個別試算が最短です。
3|見落としがちな「通院コスト」を可視化する
移動費:タクシー往復、駐車場、ガソリン、高速
時間コスト:待ち時間、付き添い家族の休業・代替介護の手配
身体コスト:天候・階段・乗降での転倒リスク、疲労→ 訪問診療に切り替えるだけで、これらがゼロ or 激減します。
例:「通院タクシー代が毎回5,000円×月2回=月1万円」訪問診療導入で総負担が下がるケースが多くあります。
4|最短で迷いを解く「費用の設計フロー」
現在の出費を書き出す(通院費・薬・介護サービス)
認定・公費の確認(要介護度、負担割合、公費受給の有無)
在宅プランを仮置き(訪問診療の頻度、訪問看護・福祉用具)
3つの財布に割り振る(医療/介護/公費)
初月の一時費用(物品・住宅改修)を把握
高額療養費・高額介護サービス費の見込みまで算定→ 紙1枚の“費用サマリー”を作って共有(家族・ケアマネ・主治医)
5|ケース別・よくあるつまずきと対処
介護保険の限度額オーバー → 生活援助の回数見直し/通所⇄訪看の組み替え/家族支援の導入
訪問看護の枠選択(医療 or 介護) → 病状と主治医意見で医療保険枠が適用可。負担が下がることも。
点滴・処置の材料費 → 「本当に必要な介入か」を見直し、引き算で楽にする(Vol.3参照)
住宅改修のタイミング → 事前申請が鉄則。退院前カンファで動線を先に決める(Vol.2参照)
6|家族に伝わる“費用トーク”の型
「3つの財布で設計します」(全体像を提示)
「通院費や待ち時間も**“見えない医療費”**です」(削減効果を明確化)
「初月は準備費がかかるかもしれませんが、2か月目以降は安定します」
「助成の対象かをこちらでも確認します」(手続きの負担軽減)
7|チェックリスト(これが揃えば試算が早い)
□ 介護保険の認定区分・負担割合
□ 医療費の自己負担割合(1~3割)
□ 公費(難病・障害・特定疾患等)の受給状況
□ 今の通院頻度・交通手段・費用
□ 使っている介護サービスと回数
□ 自宅の段差・トイレ・浴室の状況(改修の要否)
8|まとめ
費用の不安は、全体像が見えないことから生まれます。医療・介護・公費の3つの財布で設計し、通院コストまで含めて“本当の総負担”を可視化すると、訪問診療への移行は数字でも納得できます。
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