【連載Vol.6】分断を生まない多職種連携
- 恭祐 昼八
- 1 日前
- 読了時間: 3分
1枚サマリー×合意形成×月1レビューで「同じ地図」を持つ
在宅の現場でいちばんやっかいなのは、情報の分断と温度差。家族/ケアマネ/施設/医療(医師・訪看)が**それぞれ“正しい”**と思う方向を向いてしまうと、支援は空回りします。鍵は、単一の“地図”を全員で持つこと。今日から使える設計をまとめます。
1|まず、分断はなぜ起きる?
情報の非対称:誰かだけが新情報を握る/伝言で歪む
目的のすれ違い:「治す」vs「楽に」/リハ重視 vs 安全重視
役割の曖昧さ:誰が最終判断?どこまでやる?
噂や推測:Aの前でBの悪口、Bの前でAの悪口…(これは即、連携崩壊の火種)
解決策はシンプル。同じ事実・同じ目的・同じ手順を見える化し続けること。
2|“1枚で足りる”在宅プラン・サマリー(共通の地図)
A4一枚を唯一のマスターに。冷蔵庫&全関係者で共有。項目(更新日付つき)
本人像:大切にしたいこと/NG(ACP抜粋)
現在地:主病名・直近の経過・リスク
目標(90日):例)転倒ゼロ/夜間不安を半減/在宅看取り可
医療:処置・デバイス・薬(中止/変更理由も)
介護:サービス枠・福祉用具・環境(動線図)
緊急フロー:症状別の目安(在宅/往診/救急)
役割分担:最終判断者/連絡順/窓口
合意事項:点滴・検査「やる/やらない/条件」
連絡先:在宅医・訪看・ケアマネ・家族
連絡はこのサマリーを基点に。メールやチャットはサマリーを更新したら送る、がルール。
3|合意形成の“6ステップ”——対立を建設的に
ゴールの確認:「この3か月で何を守る?」
前提の開示:各職のリスク認識・制約をテーブルに
選択肢の列挙:やる/やらない/条件付き
利点・不利益を並列(家族の言葉で)
小さく決める:期限付きの試行(2週間〜1か月)
記録&放送:サマリー更新→全員に配信
正しさを競わず、**“更新可能な合意”**を持つのが在宅流。
4|月1レビューの型(30分・オンラインでOK)
アジェンダ(各5分×6)
① 体調アップデート(夜間・急変・入院の有無)
② 目標の指標(KPI)確認:未計画入院・夜間コール件数・転倒・痛みスコア
③ 薬/処置の見直し(引き算含む)
④ 環境&福祉用具(動線・段差・ポジショニング)
⑤ 家族の負担・メンタル(レスパイト/支援)
⑥ 変更点をサマリーへ反映→配信
30分で**“次の1か月の地図”**を確定。長い会議は不要です。
5|“分断の芽”を摘むコミュニケーション術
SBAR+クローズドループ
送る側:SBAR(状況/背景/所見/提案)
受ける側:要点を復唱し、決定と期限を返す
推測厳禁・噂に乗らない
「◯◯がこう言ってた」は一次情報へ直行
ファクトチェック手順:
発言日時・場所・文脈を確認
本人(または所属)に一次照会
サマリーに事実のみ反映(評価や私見は別欄)
火がつきやすい話題の扱い
例:点滴/搬送/費用——利点/不利益/代替を並列で提示(Vol.3・4参照)
6|3つの“カード”を作る(現場の摩擦を減らす道具)
連絡カード:誰に/番号/いつ(冷蔵庫)
レッドフラグカード:救急ラインの症状目安(Vol.5)
ゴールカード:本人の大事なこと・NG(家族の言葉)
まとめ
本当に分断がおきてしまうような資質の人が多くいれば困ってしまいますが、当院と連携とってくださる医療従事者の方たちはこのような仕組みをとらずともうまく連携がはかれていますし、なにかあれば直接相談いただける方が多いです、ありがたいことです
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