報酬だけが原因じゃない——“赤字病院・施設”の本当の論点はベッド運用と受け入れ姿勢?
- 恭祐 昼八
- 2 日前
- 読了時間: 3分

「診療・介護報酬を前倒しで見直す」「補正で現場を支える」——そんなニュースが続いています。もちろん現場支援には賛成です。ただ、赤字の主因を“報酬そのもの”に求めるだけでは、同じことの繰り返しになります。本丸は、ベッド運用と受け入れ姿勢(選別)と思ってます
1) いま起きていること(超要約)
病院・介護の赤字化が深刻化。報酬の前倒し改定や補正予算での支援が語られている。
それでも現場の肌感として、**収支を押し上げる最大のてこは“稼働率×回転”**であり、ここが弱い施設ほど赤字に沈みやすい。
2) 収益の土台は「稼働率」と「回転率」
固定費ビジネスの鉄則は、稼働率と回転率です。医療は品質と安全が最優先ですが、それでも80%前後を安定して超える稼働と、入退院や入退所の流れを止めない回転が、収支のボトムを支えます。逆に、
現場都合で受け入れ窓口が狭い(時間・曜日・疾患・合併症)
「重い/手がかかる」患者・入居希望者を避けがち
急変や夜間の一次対応の設計が曖昧
退院・退所後の地域連携(在宅・訪問看護・外来)が弱い ——こうした選別が積み重なると、空床・空き枠が常態化し、結局は自業自得の稼働低下に陥ります。
3) 日本の“構造”という現実も直視する
日本はベッド密度が世界でも高い。だからこそ回し方が問われます。
コロナ後も在院日数の短縮が続き、延べ患者数は伸びにくい。質を保ちながらどう回すか、が勝負どころです。
4) 「受け入れ姿勢」を変える具体策(病院・施設)
A. 受け入れ時間の延伸と“即応スロット”
平日17時以降・土日の入院/入所受け入れ枠を固定で持つ。
救外・在宅・施設からのホットラインを一本化し、決裁をシンプルに。
B. ケースミックスの再設計
「都合の良い患者」偏重から脱却。合併症ありの受け入れをプロトコル化して恐れを減らす。
リハ・栄養・口腔・排泄の横串チームで在院日数の天井を下げる。
C. 退院・退所“再入”パス
「入院(入所)は最適解」な時もある。その後の地域での再入ルート(訪問診療・訪看・薬局)を日付指定で先に決め、再燃時の逆流を防ぐ。
D. 夜間・急変の一次対応を“型”にする
連絡先・判断ライン・次の一手を1枚の運用票に。家族・施設・在宅側と同じ票を見る。
5) 介護の現場に足りない“受け皿の柔軟性”
短期入所(ショート)や一時預かりを“在宅の逃げ道”として常設する。
看取り体制(訪問診療・訪看の即応)があると、紹介が増え、空き枠が動く。
医科歯科連携で誤嚥・摂食嚥下・口腔トラブルの山を早く下げる。
6) 報酬は“追い風”にすぎない
報酬改定はもちろん重要です。でも、運用が変わらなければ追い風も活かせない。
受け入れ時間・疾患・合併症で線引きをしている限り、紹介は痩せ、稼働は戻らない。
「受けられる側」から「受け止める側」へ。 その姿勢の差がベッドの動きを変えます。
7) 逢縁クリニックからの提案(地域連携)
在宅→病院→在宅の往復ルートを先に作る(退院予定日・再診日・連絡線)。
病院・施設のみなさんと、受け入れの“型合わせ”ミーティングを定例化しませんか。
夜間・休日の**“一次対応セット”**(連絡票/判断ライン/次の一手)を共通化。
私たちは、同日〜翌日の初動を軸に、在宅で“山を下げる”運用をしています。受け入れの柔軟性と回す設計があれば、赤字は「報酬のせい」だけでは語れないはず。ここから一緒に、変えましょう。
連絡先
📞 070‑9003‑3302
対応エリア:札幌市内全域/白老町/苫小牧
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