「こういう方でも、訪問診療できますか?」——今日の相談事例
- 恭祐 昼八

- 1月15日
- 読了時間: 3分

まず最初の質問はシンプルでした
「あいの里、行けますか?」
答えは、行けます。
ただ、距離の話よりも、その後に続く背景がまさに在宅の難しさでした。
相談内容:情報が少ない、そして“会えないかもしれない”
今回のケース、ざっくり言うとこういう状況でした。
お住まいは、部屋の環境としては“なかなかボロ屋”
認知症が進んでいる(認知症外来で確定診断)
他の内科疾患が何があるのか、医療情報がほとんど分からない
天気がいい日はふらっと外出してしまい、訪問予定を組んでも不在の可能性がある
息子さんはいるが関係性が悪く、同席してもらって外出を止める…のような調整が難しい
ケアマネさんが同席しても、「そもそも本人がいなければ意味がない」→ “外出しないための作戦がない”
年金はしっかり入っており、持ち家。支払い能力は問題ない
そして最後に、地域側からの本質的な質問。
「こういう方でも、診療に行けますか?」
当院の答え:「行けます」というより「行ってみます」
僕たちの場合、この手の相談に対しては
“行けます”というより、まず“行ってみます”というスタンスです。
在宅医療って、病院と違って「情報がそろってから始める」ことができないケースが多い。だから、まず現場に入って、状況を把握して、そこから整えていく。
医療情報が乏しくても、内科疾患は“拾いにいける”
「内科疾患がよく分からない」という点については、当院としてはこう提案しました。
まずは採血などで、異常がないかを拾いにいく
必要に応じて レントゲン・エコー なども実施できるため、在宅でも“それなりの病気”は発見できる可能性がある
在宅医療=薬を出すだけ、ではありません。むしろ「見逃されやすい異常」を拾っていく作業が重要だったりします。
問題は「会えるかどうか」——不在ならどうする?
このケースの最大の懸念点はここでした。
訪問に行っても、本人がいないかもしれない。
ここに対して当院としては、
新しい先生の枠が空いている“今のうち”は何度かトライすることも辞さない覚悟で進める
という提案をしました。
もちろん、何でも無限にリトライできるわけではありません。ただ、在宅医療の入口で「会えないかもしれない」ケースは一定数存在します。
だから、最初の段階だけは“会えるまでやってみる”という投資が必要になることもあります。
次のステップへ
結果として、今回のケースは「次のステップへ進む」ことになりました。
ここから先は、
実際に会える曜日・時間帯の見立て
外出パターンの把握(近所の行き先など)
介護サービスの組み立て
必要なら見守りや生活支援の導入
といった、医療と介護の“共同作業”になっていくと思います。
在宅医療は「整っていない人」に入っていく医療
今日の相談で改めて思ったのは、在宅医療って、
情報がない
支援がない
連絡がつかない
会えない
家族関係も難しい
みたいな、“整っていない状態”にこそ入り込んでいく医療なんだということ。
だからこそ、最初から完璧に条件が揃っていなくても、「とりあえず一回見てみる」ことに価値があると思っています。
同業の皆さんも、似たケースがあったらぜひ知恵を共有してください。こういう事例こそ、地域で支え方を考える価値があると思っています。
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