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【終末期の点滴、した方がいい?しない方がいい?】

在宅医療で大切にしている“自然なかたち”という考え方

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はじめに

「最期のとき、点滴はしたほうがいいんでしょうか?」在宅医療の現場で、ご家族からもっとも多く聞かれる質問のひとつです。

体が弱り、食事や水分がとれなくなってきたとき——「このまま脱水になったらどうしよう」「点滴をしないと苦しいんじゃないか」そう思うのは、ごく自然なことです。

この記事では、終末期における点滴についての考え方を、わかりやすくお伝えします。

点滴は「命をつなぐ」もの?それとも…?

点滴には、水分や栄養を補い、体調を安定させる働きがあります。若くて回復力のある方や、一時的な不調であれば、点滴はとても有効です。

しかし、終末期——つまり**「命の最終段階」**では、体は少しずつ機能を緩やかに停止させていく自然なプロセスに入ります。この時期に点滴をすることで、かえって体がむくんだり、呼吸が苦しくなったりすることもあるのです。

食べられない・飲めないのは「苦しみ」ではない

終末期になると、自然と食べたり飲んだりする力が弱まります。それは体が「そろそろ休もう」としているサインでもあります。

  • 口から摂れない=苦しいというわけではありません

  • 無理に点滴をすると、水が肺にたまり、咳や呼吸困難を起こすリスクもあります

在宅医療の現場では、**「枯れるように穏やかに」**過ごすことを大切にしています。点滴で命を引き延ばすのではなく、自然な経過を見守りながら、痛みや不安をやわらげることに重点を置いています。

家族として、どう考えたらいい?

「何もしなかったと思いたくない」「最期までできることをしたい」

ご家族として、そう思うお気持ちはとてもよくわかります。点滴をすることが「見捨てていない証」になると感じる方もいます。

でも本当に大切なのは、「何をしたか」ではなく、**「どう一緒に過ごしたか」「何を望んでいたか」**ではないでしょうか?

医療的な処置がなくても、手を握り、声をかけ、そばにいることは、最高のケアです。

終末期における私たちの考え方(逢縁クリニック/訪問看護)

逢縁クリニックと訪問看護ステーションでは、患者さんとご家族に寄り添いながら、終末期のケアを行っています。

  • 点滴をする・しないは、医師が状態を見て、本人や家族と一緒に判断します

  • 必要に応じて、少量の点滴で苦痛をやわらげることもあります

  • 看護師がご家族の不安や葛藤にも寄り添い、定期的に説明・相談を重ねていきます

  • どんな選択でも、「あなたの決断でよかった」と思えるよう、支え続けます

おわりに

終末期の医療に、“絶対に正しい”という答えはありません。大切なのは、「その人にとって何が心地よいか」「どう最期を迎えたいか」を一緒に考えることです。

点滴をする・しないに正解はありません。けれど、「自然な形で、穏やかに旅立てたね」と思える時間を支えることは、私たち在宅医療の使命だと考えています。

ご相談はいつでもお気軽に

在宅療養中の患者さんやご家族で、「食べられない」「水分が摂れない」「点滴は必要?」と不安に感じている方がいれば、どうぞご相談ください。

📍札幌本院:札幌市北区北33条西2丁目1-15 KANTINE

📍白老拠点:白老町東町4丁目6-7 白老町総合保健福祉センター(いきいき4・6)内

📞TEL:070‑9003‑3302

🌐お問い合わせフォームはこちら

 
 
 

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北海道札幌市北区北33条西2丁目1-15 KANTINE 2-3F

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