入院が本当に必要ですか?|“医療”と“介護”のすみ分けを一緒に考えたい
- 恭祐 昼八
- 5月2日
- 読了時間: 3分

ある日、救急搬送された高齢の方。一時的な意識消失で救急隊が呼ばれ、念のため精密検査も実施。でも大きな異常所見はなく、入院の医学的必要性もない。
そんなとき、
「家では看られないから入院させてほしい」
「とりあえずしばらく病院で預かってくれませんか?」
…というご家族の声が、時にケアマネジャーさんを通じて医師のもとへ届くことがあります。
❓ 「入院させて」と言われても、医師が困ってしまうケースとは?
私たち医師は、「医学的に入院が必要かどうか」という視点で判断します。以下のような場合は、**“入院適応なし”**となることがほとんどです:
意識消失の原因が一過性のもので、すでに回復している
検査でも明らかな異常がない
本人のADL(日常生活動作)が自立しており、医療的ケアの必要もない
このような状態で「家で見られないから」「家族が不安だから」という理由だけで入院依頼されると、正直なところ、医師としては病院に話を持っていくのが非常に難しいというのが実情です。
🛌「レスパイト入院」も実は条件があります
「じゃあレスパイト入院でお願いできませんか?」…というご提案もよくいただきます。が、こちらも注意が必要です。
レスパイト入院の基本的な要件:
医療的ケアが必要な方
自宅で看ているご家族がいて、介護疲れなどで一時的に休養が必要な場合
たとえば胃ろう管理や吸引、認知症による昼夜逆転など、医療依存度がある方が対象です。ADL自立・医療行為不要の方の場合、レスパイトの対象にならないことがほとんどです。
💬 医療と介護、それぞれの“役割”を尊重した連携を
医療側も、家族の負担や不安をまったく理解していないわけではありません。ただし、「医療にできること」と「介護で対応すべきこと」は違うという前提が、どうしても必要です。
介護保険制度には、
短期入所(ショートステイ)
特別養護老人ホーム
サ高住・有料老人ホームなど、医療的必要がない方にこそ有効な選択肢があります。
「お金がかかるから」という理由で医療機関へ依頼が集中してしまうと、本当に入院が必要な方のベッドが使えなくなる――そんなジレンマも生まれてしまいます。
🌱 “お願い”ではなく“相談”の関係でいたいから
私たち逢縁クリニックは、地域のケアマネさん・包括支援センターの皆さまとしっかり連携していきたいと考えています。だからこそ、「医療の立場からできること」と「介護の立場からすべきこと」を一緒に整理しながら対応したいと思っています。
✅ 医学的根拠のある入院が必要なときは、こちらからきちんと手配します。
✅ それ以外のケースでは、「どうすれば本人・家族が安心できる環境を整えられるか」を、一緒に考えましょう。
📞 ご相談・ご連絡はこちらまで
逢縁クリニック
TEL:070-9003-3302
「入院=安心」ではなく、「その方に本当に合った場所で安心できること」をゴールに。医療と介護、違う立場だからこそできる連携があると信じています。どうかこれからも、フラットに相談し合える関係でいさせてくださいね。
Comentários