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【レスパイト入院?ショートステイ?】介護者を支える“正しい選択”とは


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「介護で疲れたので、少し入院させてほしい」

「自宅では見られないから、レスパイトで何日か預かってもらえませんか?」

そんなご相談を受けることがあります。もちろん、介護者の負担を軽減することはとても大切なことです。

ですが、逢縁クリニックではまず“ショートステイ”の利用を優先的に検討するようにしています。


🛏 「レスパイト入院」が多く依頼される現状

医療の現場では、「介護疲れ」「突発的な家族の事情」などを理由に、レスパイト入院の依頼が多く寄せられます。

しかし不思議なことに、同じ理由でショートステイ(短期入所生活介護)の依頼が来ることはほとんどありません。

💬 なぜショートステイじゃなく、入院なの?

ご家族やケアマネさんがそう考える背景には、こんな理由があるようです。

  • 「入院の方が安心」

  • 「医師がそばにいるから安全」

  • 「医療保険の限度額(8,000円程度)で済むから、ショートステイより安い」

確かに、その気持ちはわかります。ですが、**本来レスパイト入院は“医療が必要な方の一時的な保護”**を目的に設けられた制度です。

📌 逢縁クリニックが「まずショートステイを」と考える理由

私たちは日頃から、介護保険を使って生活を支えている患者さんに対して、「介護が大変になったからといって、いきなり医療保険に頼るのはおかしくないか?」という問題意識を持っています。

  • 普段、排泄・入浴・食事介助は介護保険のヘルパーやデイサービスで支えられています。

  • その延長線にある“介護者の休息”も、まずは介護保険で対応するべきと考えています。

🚨 入院ベッドの圧迫がもたらす本当の問題

ベッドに空きがあれば病院側も「今回は受けましょう」と言ってくれることがあります。でも、それが続くとどうなるか。

本当に医療が必要な人に、ベッドが回らなくなります。

たとえば、終末期で苦痛が強くなった方、脱水で点滴が必要な方、褥瘡処置や呼吸器管理が必要な方…そうした「医療的理由による入院」が後回しにされるのです。

🧠 とはいえ、ショートステイも万能ではない

もちろん、ショートステイにも課題はあります。実際に、帰宅された患者さんが明らかに痩せて帰ってきたというケースもありました。

  • 食事が合わなかった

  • 水分摂取がうまくいっていなかった

  • ケアが細やかでなかった可能性

これらのリスクはあると承知しています。それでも、制度上まず活用すべきは介護保険(ショートステイ)であり、医療保険は次の手段と考えています。

🔍 まとめ:選択の優先順位

状況

推奨される支援手段

介護者の一時的な休息が必要

✅ ショートステイ(介護保険)

医療的処置や管理が明確に必要

✅ レスパイト入院(医療保険)

🌱 正しい選択が、地域の医療資源を守ります

入院が悪いわけではありません。ショートステイが完璧なわけでもありません。でも、制度の“意味”を理解して使い分けることが、長い目で見たときに地域全体の支えになります。

逢縁クリニックでは、「なぜそれを選ぶのか」を一緒に考えるパートナーでありたいと思っています。

📞 ご相談・お問い合わせ

逢縁クリニック(おうえんクリニック)

TEL:070-9003-3302

“なんとなく入院”ではなく、“ちゃんと考えてショートステイ”という選択肢もあることを、伝えていきたい。それが逢縁クリニックの考える、地域との付き合い方です。

 
 
 

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