【熱中症と脱水症の違い、説明できますか?】
- 恭祐 昼八

- 8月21日
- 読了時間: 3分

在宅でも注意したい、“水分と塩分”のバランスの話
こんにちは。逢縁クリニック院長の橋本集です。
暑い日が続くこの季節、よく耳にするのが「熱中症」や「脱水症」。ですが、この2つの違いを正確に説明できる人は、意外と少ないかもしれません。
今回は、在宅医療の現場でもよく直面するこのテーマについて、少し噛み砕いてお話ししたいと思います。
🔸「脱水症」とは何か?
脱水症とは、体から水分と電解質(ナトリウムなどの塩分)が不足した状態のことです。
◉ 脱水の種類
高張性脱水(水分がより多く失われる) 例:汗をかきすぎた場合など → 血液が濃くなり、喉が渇き、ふらつき、発熱、けいれんなどの症状が出やすい
低張性脱水(塩分がより多く失われる) 例:水だけを大量に飲み続けた場合 → 血中ナトリウムが低下し、倦怠感や頭痛、吐き気などが出る
等張性脱水(水分と塩分が同じバランスで失われる) 例:下痢や嘔吐など → 血液量が減り、血圧低下や腎機能低下などが生じる
🔸「熱中症」とは何か?
熱中症とは、暑さによって体温調節機能が破綻してしまった状態です。重症度によって分類されますが、本質的には以下のような順序で進みます。
◉ 熱中症の段階(厚労省分類より)
重症度 | 症状例 |
軽度(I度) | めまい・立ちくらみ・筋肉のこむら返り |
中等度(II度) | 頭痛・吐き気・倦怠感・集中力の低下 |
重度(III度) | 意識障害・けいれん・高体温(40℃以上)・臓器障害 |
熱中症では、多くの場合脱水症も同時に起こっているため、実際の現場ではこの2つをセットで考えることが多いです。
🔸 「水だけ飲めばいい」は大間違い
「熱中症予防に水をたくさん飲みましょう!」……はもちろん大事ですが、塩分(ナトリウム)を同時に補うことが非常に重要です。
ナトリウムが不足したまま水分だけを補うと、低ナトリウム血症となり、逆に体調を悪化させてしまうことも。
✅ おすすめの水分補給方法:
経口補水液(OS-1など)を活用
スポーツドリンク(ただし糖分に注意)
自宅で作る「塩分入りドリンク(0.1〜0.2%食塩水)」
🔸 在宅医療でよくあるケース
在宅では、
食事量や水分摂取量の低下
利尿薬の使用
発熱や下痢・嘔吐
自覚症状の乏しい高齢者
などが脱水・熱中症のリスクを高めます。
特に認知症のある方や独居の高齢者では、「喉の渇きに気づけない」「補給しない」ことが多く、気づいたときには腎機能が悪化していたというケースもあります。
🔸 見逃さないで!こんな症状に注意
脱水症のサイン | 熱中症のサイン |
口の渇き・尿量減少・脈拍増加 | 顔のほてり・頭痛・吐き気・ぼんやりする |
倦怠感・皮膚の乾燥 | 汗が出なくなる・体温が高くなる |
皮膚のツルゴール低下(皮膚をつまんで戻らない) | 意識のもうろう・けいれん |
🔸 まとめ:水と塩を、ちょっと気にして
熱中症=夏のもの脱水症=季節関係なく起こるもの
この意識をもって、「ただの暑さ」や「軽い食欲不振」でも、見過ごさないことが大切です。
特に在宅医療においては、早期の声かけと観察がご家族の役割としてとても重要になります。
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