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【老衰終末期】“やらない勇気”が楽にする|終末期の点滴・検査の決め方

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終末期になると、**「点滴で元気にできないか」「検査で原因をはっきりさせたい」という思いが自然に湧きます。一方で、体がしぼんでいく時期は“足し算の医療”より“引き算の医療”**が本人を楽にすることが多くあります。ここでは、**利点/不利益/“しない場合のケア”**を同じテーブルに並べ、家族と一緒に決めていくための実践ガイドをまとめます。


1|まず理解したいこと:体の「需要」が変わる

終末期は、代謝が落ち、空腹や口渇を感じにくくなります。この段階で点滴や検査の負担が増えると、結果として息苦しさ・むせ・不穏などのつらさが上がることがあります。

“良かれと思っての足し算”が、本人の苦痛を増やすことがある——ここが最重要ポイント。

2|点滴(補液)をどう決める?

観点

やる場合の利点

予想される不利益(終末期で起きやすい)

しない場合のケア

体の楽さ

一時的に口渇が和らぐこと

むくみ・肺うっ血・呼吸苦痰増加→吸引回数↑/穿刺の痛み・拘束感

口腔湿潤(濡れガーゼ・保湿ジェル・氷片・ゼリー)、楽な体位(30°側臥位)

目的

薬剤投与ルートが必要なとき

針固定による不快、夜間の寝苦しさ

“好きな味を少量だけ、食べられる時に”の楽しみを優先

結論のコツ

  • 「楽になる見込み>負担」のときだけ、少量・短期間で検討。

  • それ以外はやらない勇気が、結果的に穏やかさを守ります。


3|検査(採血・画像)をどう決める?

  • GOの条件:結果がすぐ治療方針を変える(例:感染症で抗菌薬を選ぶ/明らかな脱水で短期補液)。

  • NOの条件:結果が出ても生活が良くならない/負担が大きい(移動・穿刺・待機で疲弊)。

  • 代替:症状ベースの緩和(痛み・不眠・不安の調整)、環境整備、体位・口腔ケア。

4|迷ったら使う「4つの質問」

  1. いまの目標は?(原因特定/延命/つらさの軽減/家で穏やかに)

  2. 期間は?(短期で効果が見える?長期の負担?)

  3. 負担は?(痛み・移動・夜間の不安・家族の疲労)

  4. 代替は?(点滴以外の湿潤・姿勢、検査以外の観察と対処)→ 4つに○×を付けるだけで、家族の納得度が上がります。

5|“しない”と決めたあとにできるケア

  • 口腔ケア:保湿ジェル/濡れガーゼ/氷片・ゼリー(少量)

  • 姿勢:クッションで30°側臥位→呼吸・むせ・眠りが改善

  • 環境:照明を落とし、声かけはゆっくり・短く

  • 不安ケア連絡先がすぐ分かるカードを冷蔵庫に/“まず一本の電話”の約束

  • 楽しみ:音楽・匂い・手のぬくもり——“感覚のごちそう”を増やす

6|現場で使える声かけ

  • 無理に食べさせないことも、やさしいケアです。」

  • 「点滴は効くときもありますが、息苦しくなることも。今日の体に合う方法を一緒に選びましょう。」

  • やる/やらないいつでも変更できます。迷ったら立ち止まりましょう。」

  • 「“しない”と決めても、できるケアはたくさんあります。」

7|ミニ実例(匿名)

90代、食べず飲まず。家族は点滴希望。発熱・痛みなし、老衰進行。→ 利点/不利益/代替を並べて相談。口腔湿潤+体位調整+少量ゼリーを提案、点滴は見合わせ。数日後、「むせが減って機嫌が良い。穏やかな時間が増えた」と家族。

“やらない勇気”が楽にする典型例でした。

8|合意の見える化(不安を減らす道具)

  • 在宅プラン・サマリー

    • 点滴・検査:やる/やらない/条件つき

    • 夜間の連絡フロー(在宅/往診/救急の目安)

  • 冷蔵庫の連絡カード:誰に・何を伝えるか(“SOS5+3”)

9|Q&A

Q. 点滴をしないと“かわいそう”では?A. 口の渇きは口腔湿潤で多くが改善します。点滴で呼吸苦・痰増が起きると、かえって苦痛が増えます。

Q. 検査をしないのは見捨てること?A. いいえ。生活を良くしない検査なら“しない”が適切。治療に結びつく検査は短期で行い、すぐ生活に還元します。

Q. 途中で考えが変わったら?A. いつでもOK。**“更新可能な合意”**が在宅流です。

まとめ

終末期の点滴・検査は、本人の楽さ家族の納得の両方を守るための選択です。利点/不利益/しない場合のケアを並べ、今日の体に合う最適解を一緒に選びましょう。迷ったら、短い相談からで大丈夫です。

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📍白老町:白老町東町4丁目6-7 白老町総合保健福祉センター(いきいき4・6)内


 
 
 

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