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なぜ、生活習慣病こそ「訪問診療のかかりつけ医」が心強いのか

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〜通院が大変になってからが、本当の勝負どころ〜

高血圧・糖尿病・脂質異常症・痛風…。

いわゆる「生活習慣病」と呼ばれる病気は、一度診断されると何年・何十年と付き合っていく慢性疾患です。

若いうちは「仕事のついでに外来に寄ればいい」「調子が悪いときだけ病院に行けばいい」という感覚でも何とかなります。

しかし年齢を重ねるにつれて、

  • 足腰が弱くなり、通院がつらくなる

  • 認知症が出てきて、薬の飲み忘れが増える

  • 高血圧や糖尿病に加えて、心不全や腎臓病など病気が増えてくる

こうした変化が少しずつ、しかし確実に起こってきます。

そうなると、「生活習慣病のフォローを続けたいのに、そもそも病院に行くこと自体が負担」という状態になってしまいます。

そんなときに力を発揮するのが、**「訪問診療のかかりつけ医」**です。


「自己流+たまの通院」だけでは危うい理由

まず、生活習慣病を自己流で管理したり、「具合の悪いときだけ受診」で乗り切ろうとしたりすることには、いくつかの落とし穴があります。


落とし穴①:通院のハードルが上がった瞬間、一気にフォローが途切れる

  • 雪道で転びそうだから冬は通院を控える

  • 家族の送迎の都合がつかない

  • 「バスと地下鉄を乗り継いで病院へ」がしんどくなる

こうした理由で、「まあ、薬が切れてから考えようか」と受診間隔がどんどん空いてしまう方は少なくありません。

生活習慣病は、症状がはっきり出ないまま静かに進行するタイプの病気です。受診が半年、1年と空いているあいだに、

  • 血圧がじわじわと上昇

  • 腎機能が少しずつ悪化

  • 心不全が進行して息切れやむくみが出てくる

といった変化が、知らないうちに進んでいることもあります。


落とし穴②:たくさんの薬・病気をバラバラに管理してしまう

高血圧・糖尿病・脂質異常症・心不全・腎臓病・痛風…。高齢になると、これらが全部セットで出てくることも珍しくありません。

そのたびに別々の病院に通っていると、

  • 「この薬とこの薬、飲み合わせは大丈夫?」

  • 「どの病気を優先してコントロールすべき?」

という全体像が見えにくくなりがちです。


落とし穴③:生活の現場を見ないまま「頑張ってください」で終わってしまう

外来の診察室でお話を聞いているだけでは、どうしても限界があります。

  • 実は階段が多くて移動だけで息切れしている

  • 食事を用意しているのはご本人ではなく高齢の配偶者

  • お薬カレンダーはあるけれど、実際にはほとんど使われていない

こういった**「生活のリアル」**は、診察室からはなかなか見えません。

結果として、「運動を増やしましょう」「塩分を控えましょう」と一般的なアドバイスにとどまり、ご本人の生活にフィットした対策になっていないことも多いのです。


訪問診療医が“生活習慣病のかかりつけ”になると起こる変化

では、訪問診療医が生活習慣病のかかりつけ医として関わると、何が変わるのでしょうか。逢縁クリニックでの訪問診療の経験から、特に大きいと感じるポイントを挙げてみます。


① 「生活の場」を見た診察ができる

訪問診療では、診察室ではなくご自宅で診療を行います。

  • 冷蔵庫の中身や食卓の様子

  • お薬の保管場所・飲み方

  • トイレや浴室までの動線

こうした情報は、生活習慣病のコントロールにとても大きく影響します。

例えば、

  • 「この距離をこのスピードで歩くと息切れしてしまうから、運動の目標はここから始めましょう」

  • 「この調味料の使い方なら、塩分量はこのくらいになりそうですね」

と、机上の理想論ではなく、「その人の家の現実」に合わせたアドバイスができます。


② 薬の飲み忘れや中断を、その場でキャッチできる

訪問すると、部屋の隅にたまっている薬袋や、飲み残しの薬が見つかることがあります。

  • 「実は眠気が強くて、この薬は飲んでいなかった」

  • 「飲み方がややこしくて、途中であきらめてしまった」

こうした“本音”は、外来だとなかなか言い出しづらいものです。

訪問診療なら、お薬カレンダーや配薬方法をその場で一緒に見直したり、必要であればお薬の種類をシンプルに整理したりすることができます。


③ 多くの病気を「まとめて管理」できる

訪問診療では、

  • 高血圧・糖尿病・脂質異常症

  • 心不全・心房細動

  • 慢性腎臓病

  • 認知症・うつ状態

など、複数の病気を一人の主治医として総合的に診ていくことができます。

  • 「この利尿薬を増やすと、腎機能にはこういう影響が出る」

  • 「HbA1cの目標値は、この年齢と生活の状況ならここまでで十分」

といった具合に、**“トータルで見たときの最適解”**を一緒に探していくことができます。


④ ケアマネ・訪問看護・薬局と“チームで”生活習慣病を見る

訪問診療は、医師だけの医療ではありません。

  • ケアマネジャー

  • 訪問看護師

  • 訪問リハビリ

  • 訪問薬剤師

こうした多職種と連携しながら、生活習慣病を「病気」ではなく**“暮らしの一部”**として一緒に見ていきます。

例えば、

  • 血圧や血糖を訪問看護で定期的にチェック → データを共有

  • 食事の内容を栄養士や薬剤師と相談

  • むくみ・息切れなどの変化を早めにキャッチして受診調整

このように、ご本人+ご家族+医療・介護チームで、マラソンのような長い治療を支えていきます。


⑤ 「大きな変化」を起こすより、「続けられる工夫」を一緒に考える

訪問診療で大事にしているのは、劇的な変化よりも、**“続けられる小さな工夫”**です。

  • 調味料を全部変えるのではなく、「この一品だけ減塩」にしてみる

  • 「毎日30分のウォーキング」は難しくても、「家の中でこの移動だけは自分でやる」にしてみる

  • 夜トイレに立つ回数を減らすために、夕方以降の水分の摂り方を工夫する

こうした現実的な一歩を、ご自宅で一緒に考えていきます。


こんな方は、「訪問診療のかかりつけ医」という選択肢を

たとえば、次のような方は、訪問診療が生活習慣病のコントロールに役立つ可能性があります。

  • 足腰が弱くなり、通院や待ち時間がつらくなってきた

  • 認知症があり、薬の飲み忘れや偏った食事が心配

  • 高血圧・糖尿病・心不全・腎臓病など、病気が増えてきて通院先がバラバラ

  • 一人暮らしまたは高齢同士の世帯で、「何かあったときが不安」

  • 病院に行くと疲れてしまい、しばらく行かなくなってしまう

「もう病院にはかかれないから、薬も検査もあきらめるしかない」という状況になる前に、**“家まで診に来るかかりつけ医”**という選択肢があることを、ぜひ知っておいていただきたいなと思います。

まとめ 〜生活習慣病は、“通えるうち”の病気ではない〜

生活習慣病の管理は、若いころに始まり、通院が大変になってからも続いていく、一生もののテーマです。

  • 通院がしんどくなってきた

  • それでも、できるだけ住み慣れた自宅で過ごしたい

  • ご家族の負担もできるだけ減らしたい

そんな思いを持つ方・ご家族にとって、訪問診療のかかりつけ医は大きな支えになるはずです。

「うちの家族の状況でも、訪問診療は使えるのかな?」「まだ通院できているけれど、先々が心配」

そんな段階からでも構いません。一度、お気軽にご相談ください。

📞 お問い合わせ逢縁クリニック

📍札幌本院:札幌市北区北33条西2丁目1-15 KANTINE

📍白老町:白老町東町4丁目6-7 白老町総合保健福祉センター(いきいき4・6)内

 
 
 

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