訪問診療の費用ってどのくらい?〜生活習慣病の“かかりつけ医”を家に呼ぶときのお金の話〜
- 恭祐 昼八

- 13 分前
- 読了時間: 5分

前回の記事では、
「通院が難しくなってきた生活習慣病こそ、訪問診療のかかりつけ医が心強い」
というお話をしました。
とはいえ、実際にご相談を受けていると、ほぼ必ず出てくるのがこの質問です。
「先生、訪問診療って、結局いくらぐらいかかるんですか?」
今日は、**生活習慣病のフォローを訪問診療で続けていくときの“お金のお話”**を、なるべくわかりやすくまとめてみます。
まず大前提:訪問診療も“保険診療”です
訪問診療は、基本的にふつうの外来と同じ健康保険が使えます。
国民健康保険・社会保険・後期高齢者医療制度など
自己負担は「1〜3割」
医療費の仕組み自体は、病院・クリニックの外来と同じ
という前提は、訪問診療でも変わりません。omono-clinic.jp
ただし、外来と違うポイントがいくつかあります。
訪問診療のお金の内訳(ざっくり)
訪問診療の費用は、大きく分けると:
基本診療の部分
訪問診療料(医師が家に来て診察する分)
在宅時医学総合管理料(在宅で継続的に全体管理する分)
必要に応じて追加される部分
採血・心電図・レントゲンなどの検査
点滴・注射、ワクチン接種
在宅酸素、中心静脈栄養などの医療機器管理
緊急の往診
介護保険側の部分(使っている方のみ)
居宅療養管理指導料(ケアマネや介護サービスとの連携・指導の部分)
これらを合計して、その方の自己負担割合(1〜3割)分だけをお支払いいただく形になります。
よくあるパターンの「月額イメージ」
数字が出ないとイメージしづらいので、全国の在宅クリニックが公開している「料金目安」から、代表的なケースを抜き出してみます。
① 70歳以上・1割負担・月2回の訪問診療
多くの在宅専門クリニックでは、
70歳以上で1割負担
月2回の定期訪問
特別な医療機器や難病指定などがないケース
の場合、自己負担は月およそ 6,500〜7,500円前後という目安を出しているところが多いです。
「だいたい、1割負担の高齢の方で、月2回の訪問診療なら7,000円前後が目安」と出しているクリニックが複数あります。
これに、
実際に行った検査や処置
在宅酸素など医療機器の管理
緊急の往診
などがあると、その月だけ少し増えるイメージです。
② 自己負担割合が2〜3割の場合
同じような条件で、自己負担割合が増えると、
2割負担の方:おおよそ 1.3〜1.5万円前後
3割負担の方:おおよそ 2〜3万円前後
を目安にしている在宅クリニックが多いです所+3
※もちろん、あくまで「モデルケース」なので、病状や訪問回数によって上下します。
生活習慣病の“よくあるケース”で考えてみる
ここからは、生活習慣病のかかりつけ医として訪問診療を使うケースを少し具体的にイメージしてみましょう。
ケース1:75歳・高血圧+糖尿病・1割負担
月2回の訪問診療
ときどき採血・心電図
在宅酸素や点滴はなし
この場合、
訪問診療の自己負担:月およそ 7,000〜8,000円前後
+ 内服薬代:薬局での支払い(内容によりますが 数千円程度のことが多い)
→ 合計すると、**「診察+検査+お薬」で1万円ちょっと〜1万5千円くらいに収まる」**ケースが多いかな、という印象です。
ケース2:心不全・腎機能低下もあり、訪問看護も利用する場合
高血圧・糖尿病に加えて心不全あり
むくみや体重変化をみるために訪問看護を週1回利用
訪問診療は月2回
この場合、
訪問診療の自己負担:月 7,000〜8,000円前後
訪問看護の自己負担:要介護度や利用回数によりますが、1割負担で数千円/月のケースが多いです
+ 薬代
→ トータルでは、**「医師+看護+薬」で1万5千円前後〜2万円弱」**におさまることも少なくありません。
「高くなりすぎない仕組み」もあります
高額療養費制度という“ストッパー”
70歳以上の方、あるいは75歳以上の後期高齢者の方などは、医療費の自己負担額に“月額上限”が決まっています。
よく出てくる目安としては、
1〜2割負担の高齢者の方:月18,000円が上限
住民税非課税の方:月8,000円が上限
などがあります(所得区分や年齢によって変わります)。
つまり、
「生活習慣病だけでなく、他の病気で検査や入院が重なって医療費が大きくなった」
という月でも、自己負担額には“天井”があるという仕組みです。
「心配なら、事前にシミュレーション」がおすすめ
自分の保険証の種類
自己負担割合(1〜3割)
高額療養費の区分
によって数字が変わるので、**「ざっくりでいいから、月いくらぐらいになりそう?」**というご相談をいただければ、当院側でシミュレーションすることも可能です。
よくある素朴な疑問にもざっくり答えておきます
「外来に通うより高くなりますか?」
1回あたりの診療費だけを比べると、**「家に来てもらう分、外来よりは高く感じる」**かもしれません。
ただし、
通院のためのタクシー代・ガソリン代
ご家族の付き添いの時間・お仕事の調整
雪道や階段など、通院そのものの負担
まで含めて考えると、**「トータルで見ると訪問診療のほうが助かる」**というご意見をいただくことも多いです。
「入院と比べるとどうですか?」
入院医療は、医療費+差額ベッド代+食事代などを合わせると、1ヶ月あたり数十万円単位になることが少なくありません。
訪問診療の場合、
医療費の自己負担(+薬代)
必要に応じて訪問看護・リハビリなど
で、**「できる限り家で暮らしながら、必要な医療だけを受ける」**というイメージになります。
まとめ:お金の不安も“かかりつけ医チーム”と一緒に整理を
生活習慣病の管理は、
年単位・十年単位で続いていくもの
通院が難しくなってからが、むしろ重要な時期
です。
そのときに、
医療の内容だけでなく
「毎月どのくらいの負担なら続けられそうか」
を一緒に考えるのも、訪問診療のかかりつけ医の大事な役割だと感じています。
「うちの場合、正直いくらぐらい見ておけばいいの?」
というざっくりした段階からで構いません。生活習慣病の状態・訪問の頻度・訪問看護の有無などを伺ったうえで、**“現実的に続けられるライン”**を一緒に探していければと思います。
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