top of page

訪問診療の費用ってどのくらい?〜生活習慣病の“かかりつけ医”を家に呼ぶときのお金の話〜

ree

前回の記事では、

「通院が難しくなってきた生活習慣病こそ、訪問診療のかかりつけ医が心強い」

というお話をしました。

とはいえ、実際にご相談を受けていると、ほぼ必ず出てくるのがこの質問です。

「先生、訪問診療って、結局いくらぐらいかかるんですか?」

今日は、**生活習慣病のフォローを訪問診療で続けていくときの“お金のお話”**を、なるべくわかりやすくまとめてみます。

まず大前提:訪問診療も“保険診療”です


訪問診療は、基本的にふつうの外来と同じ健康保険が使えます。

  • 国民健康保険・社会保険・後期高齢者医療制度など

  • 自己負担は「1〜3割」

  • 医療費の仕組み自体は、病院・クリニックの外来と同じ

という前提は、訪問診療でも変わりません。omono-clinic.jp

ただし、外来と違うポイントがいくつかあります。


訪問診療のお金の内訳(ざっくり)

訪問診療の費用は、大きく分けると:

  1. 基本診療の部分

    • 訪問診療料(医師が家に来て診察する分)

    • 在宅時医学総合管理料(在宅で継続的に全体管理する分)

  2. 必要に応じて追加される部分

    • 採血・心電図・レントゲンなどの検査

    • 点滴・注射、ワクチン接種

    • 在宅酸素、中心静脈栄養などの医療機器管理

    • 緊急の往診

  3. 介護保険側の部分(使っている方のみ)

    • 居宅療養管理指導料(ケアマネや介護サービスとの連携・指導の部分)


これらを合計して、その方の自己負担割合(1〜3割)分だけをお支払いいただく形になります。

よくあるパターンの「月額イメージ」

数字が出ないとイメージしづらいので、全国の在宅クリニックが公開している「料金目安」から、代表的なケースを抜き出してみます。

① 70歳以上・1割負担・月2回の訪問診療

多くの在宅専門クリニックでは、

  • 70歳以上で1割負担

  • 月2回の定期訪問

  • 特別な医療機器や難病指定などがないケース

の場合、自己負担は月およそ 6,500〜7,500円前後という目安を出しているところが多いです。

「だいたい、1割負担の高齢の方で、月2回の訪問診療なら7,000円前後が目安」と出しているクリニックが複数あります。

これに、

  • 実際に行った検査や処置

  • 在宅酸素など医療機器の管理

  • 緊急の往診

などがあると、その月だけ少し増えるイメージです。


② 自己負担割合が2〜3割の場合

同じような条件で、自己負担割合が増えると、

  • 2割負担の方:おおよそ 1.3〜1.5万円前後

  • 3割負担の方:おおよそ 2〜3万円前後

を目安にしている在宅クリニックが多いです所+3

※もちろん、あくまで「モデルケース」なので、病状や訪問回数によって上下します。


生活習慣病の“よくあるケース”で考えてみる

ここからは、生活習慣病のかかりつけ医として訪問診療を使うケースを少し具体的にイメージしてみましょう。

ケース1:75歳・高血圧+糖尿病・1割負担

  • 月2回の訪問診療

  • ときどき採血・心電図

  • 在宅酸素や点滴はなし

この場合、

  • 訪問診療の自己負担:月およそ 7,000〜8,000円前後

  • + 内服薬代:薬局での支払い(内容によりますが 数千円程度のことが多い)

→ 合計すると、**「診察+検査+お薬」で1万円ちょっと〜1万5千円くらいに収まる」**ケースが多いかな、という印象です。

ケース2:心不全・腎機能低下もあり、訪問看護も利用する場合

  • 高血圧・糖尿病に加えて心不全あり

  • むくみや体重変化をみるために訪問看護を週1回利用

  • 訪問診療は月2回

この場合、

  • 訪問診療の自己負担:月 7,000〜8,000円前後

  • 訪問看護の自己負担:要介護度や利用回数によりますが、1割負担で数千円/月のケースが多いです

  • + 薬代

→ トータルでは、**「医師+看護+薬」で1万5千円前後〜2万円弱」**におさまることも少なくありません。


「高くなりすぎない仕組み」もあります

高額療養費制度という“ストッパー”

70歳以上の方、あるいは75歳以上の後期高齢者の方などは、医療費の自己負担額に“月額上限”が決まっています


よく出てくる目安としては、

  • 1〜2割負担の高齢者の方:月18,000円が上限

  • 住民税非課税の方:月8,000円が上限

などがあります(所得区分や年齢によって変わります)。

つまり、

「生活習慣病だけでなく、他の病気で検査や入院が重なって医療費が大きくなった」

という月でも、自己負担額には“天井”があるという仕組みです。

「心配なら、事前にシミュレーション」がおすすめ

  • 自分の保険証の種類

  • 自己負担割合(1〜3割)

  • 高額療養費の区分

によって数字が変わるので、**「ざっくりでいいから、月いくらぐらいになりそう?」**というご相談をいただければ、当院側でシミュレーションすることも可能です。

よくある素朴な疑問にもざっくり答えておきます

「外来に通うより高くなりますか?」

1回あたりの診療費だけを比べると、**「家に来てもらう分、外来よりは高く感じる」**かもしれません。

ただし、

  • 通院のためのタクシー代・ガソリン代

  • ご家族の付き添いの時間・お仕事の調整

  • 雪道や階段など、通院そのものの負担

まで含めて考えると、**「トータルで見ると訪問診療のほうが助かる」**というご意見をいただくことも多いです。

「入院と比べるとどうですか?」

入院医療は、医療費+差額ベッド代+食事代などを合わせると、1ヶ月あたり数十万円単位になることが少なくありません。

訪問診療の場合、

  • 医療費の自己負担(+薬代)

  • 必要に応じて訪問看護・リハビリなど

で、**「できる限り家で暮らしながら、必要な医療だけを受ける」**というイメージになります。

まとめ:お金の不安も“かかりつけ医チーム”と一緒に整理を

生活習慣病の管理は、

  • 年単位・十年単位で続いていくもの

  • 通院が難しくなってからが、むしろ重要な時期

です。

そのときに、

  • 医療の内容だけでなく

  • 「毎月どのくらいの負担なら続けられそうか」

を一緒に考えるのも、訪問診療のかかりつけ医の大事な役割だと感じています。

「うちの場合、正直いくらぐらい見ておけばいいの?」

というざっくりした段階からで構いません。生活習慣病の状態・訪問の頻度・訪問看護の有無などを伺ったうえで、**“現実的に続けられるライン”**を一緒に探していければと思います。

📞 お問い合わせ逢縁クリニック

📍札幌本院:札幌市北33条西2丁目1-15 KANTINE

📍白老町:白老町東町4丁目6-7 白老町総合保健福祉センター(いきいき4・6)内

 
 
 

最新記事

すべて表示
続編|低血糖って何が危ない?—在宅での見分け方・今すぐの対処・再発させないコツ

前編はコチラ: 血糖値について まずは3行まとめ 低血糖=血糖70mg/dL未満 (目安)。 54mg/dL未満は要注意レベル で、転倒・不整脈・意識障害のリスクが上がります。 手が震える・冷や汗・動悸・強い空腹・ぼんやり・ふらつき・眠気はサイン。 迷ったら測る/食べる が原則。 当院は在宅で**測定・お薬調整・教育(家族向け含む)**まで伴走。再発を減らす“あなた仕様”の計画をつくります。 今す

 
 
 
血糖値が高いと何が起きる?——在宅医がやさしく解説

まずは3行まとめ 血糖が高い状態(高血糖)が続くと、 体の水分が奪われてだるい/喉が渇く/尿が増える などの不調が出ます。 数か月〜数年と放置すると、 眼・腎臓・神経・血管 にダメージが蓄積し、 視力低下・腎不全・しびれ・心筋梗塞/脳梗塞 のリスクが上がります。 高血糖は 原因を整えれば必ず下げられます。  当院は在宅で検査・処方調整・生活サポートまで一気通貫で対応します。 「高血糖」ってどんな状

 
 
 

コメント


逢縁クリニック

診療時間 月〜金 9:00~17:00

北海道札幌市北区北33条西2丁目1-15 KANTINE 2-3F

bottom of page