ソーシャルワーカーが担う「病院のブランド力」。MSWは病院のブランド力を高めるマーケターになれる。
- 恭祐 昼八

- 8月7日
- 読了時間: 4分

みなさんいつもお世話になっております
ブランドブランドと巷ではよく聞きますよね
デパコス見に行ったら見ますよね、Dior、シャネル、YSL、シュウウエムラetc...
このブランドって概念は病院にも当てはまると考えています
🔸「ブランド力=選ばれる確率」である
「ブランド」という言葉を聞いて、みなさんは何を思い浮かべるでしょうか?高級バッグや車?有名大学?あるいはCMでよく見る企業名?
医療の世界でも「選ばれる病院」「紹介されるクリニック」には、共通する特徴があります。それは単に“治療がうまい”ということだけではありません。むしろ、「どんな患者さんに、どんな価値を提供しているか」が明確であり、その価値を“伝えられている”かが重要です。これが、医療機関における**“ブランド力”**だと私は考えています。
🔸ソーシャルワーカーは“マーケター”になれる
「マーケティング」というと売上や宣伝の話だと捉えられがちですが、本質は違います。「ニーズをつかみ、適切な価値を届ける仕組み」を整えることがマーケティングと私は考えています。
地域包括ケアにおいて、患者さんやご家族の「まだ言葉になっていないニーズ」をキャッチできるのは誰か?
──それは現場の最前線で話を聴き、支援に関わるソーシャルワーカーの皆さんです。
入院する患者さん、退院する患者さん、外来にくる患者さん、それらの家族さんとコンタクトとれますからね。
たとえば:
「どうせ病院なんて変わらない」と諦めかけていた家族に、
「こんな支援ができますよ」と情報提供する
→ 患者が選択肢を持ち、結果的に“その病院が選ばれる”
これこそマーケティングの実践であり、ブランド価値の創造なのです。
🔸「患者中心」か「自己満足」かの分かれ道
医療従事者としてよく陥っているのではないかと思う事例
「自分が気持ちいい医療を提供しているだけになっていないか?」という落とし穴。
「これが正しいから」と押しつける説明
「こうあるべき」という価値観の押しつけ
自分視点の“完結した支援”
本当に必要なのは、「その患者さんが、どんな人生を歩んできて、これからどうありたいか」に寄り添うこと。その視点を持って、“選ばれる支援”“感謝される医療”は初めて成立するのだと思います。
🔸必要条件と十分条件:戦略の視点を持つ
「とりあえず困ってる人に全部届けたい」──その思いは大切ですが、届け方を間違えると誰にも届かない。
地域にどんな患者層がいるのか(市場の分析)
自院の強みはなにか(ポジショニング)
紹介ルートはどこか(チャネル戦略)
伝えるべき情報は何か(コンテンツ戦略)
こうした戦略的視点を持つチェックリストをもとに、机上の空論でなく“実際に届く支援”を設計するのがマーケティングの力です。
逢縁クリニックにはMSWがいません。でも…
実は、私たち逢縁クリニックにはMSWという職種の人はいません。でも、全員が「MSW的視点」を持って働いています。
制度の知識や支援の提案
医療と生活の橋渡し
利用者さんの背景をくみとった提案
まだまだ拙い部分もありますが、患者さんに「寄り添う力」「提案する力」は、どこにも負けていないつもりです。だからこそ、訪問診療も訪問看護も、多くの方に選んでいただけているのだと思います。
🔸まとめ:医療機関の“顔”を創るのはあなた
ソーシャルワーカーは、病院のブランド力の最前線にいる存在です。患者・家族にとって、その人の言葉・表情・説明が、「この病院は信頼できそうか」の判断基準になる。
経営戦略や広報とは異なる、“現場からのブランド構築”。それは“日々の一つひとつの関わり”から始まる。
「私が届けたいのは、どんな価値か?」
「この病院は、誰にとって、どんな存在なのか?」
──そう問い続ける人こそが、**“本当の意味でのMSW(マーケター)”**なのだと思います。
おわりに
「医療×ブランディング」というテーマに戸惑う方もいるかもしれませんが、私たちは日々の関わりの中で、知らず知らずのうちに“選ばれる理由”をつくっています。
MSWという肩書きがあるかないかに関係なく、誰もが「病院の顔」になれる時代です。
逢縁クリニックはこれからも、“話を聴く医療”と“つなげる支援”で、地域の中で信頼されるブランドを育てていきたいと考えています。






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