介護の目的を取り戻す ― 私たちが目指す“介護2.0”
- 恭祐 昼八

- 8月25日
- 読了時間: 3分

① 導入:現場の現実から
「看取りには後ろ向き」「毎日が消化試合」介護の現場で、そんな言葉を耳にすることがあります。もちろん手を抜いているわけではありません。日々、全力で業務にあたっている。けれど、ふと立ち止まった時、**“自分は何のためにこの仕事をしているのか”**が見えなくなっている瞬間があるのです。
こんな例え話があります。ある建設現場で、レンガを積んでいる人に「何を作っているのですか?」と尋ねました。一人はこう答えます。
「見ればわかるでしょう、レンガを積んでいるんですよ」もう一人はこう答えます。「ここに、教会を作っているんです」
やっている作業は同じ。でも、見えている景色はまったく違います。
② 介護の目的が見えなくなる理由
介護現場では、目的を見失いやすい環境があります。
業務が細かく分かれ、作業に追われがち
「介護のゴール」がチームや組織で明確に共有されていない
看取りや終末期ケアに心理的なハードルがある
結果として、日々のケアが「タスク消化」になり、本来の目的が霞んでしまうのです。
③ 私たちが考える「介護の目的」
私たちは、介護の目的をこの3つに定義しています。
人としての尊厳を守ること 認知症で言葉が出なくなっても、寝たきりになっても、 「私は私だ」という感覚を持って生きられるよう支えること。
生活の質(QOL)を最大化すること 「安全に長生き」だけでなく、「その人らしい時間を過ごす」こと。 今日食べたいものを食べ、会いたい人に会い、やりたいことを叶える。
望む人生の終わり方を実現すること 看取りを含め、「どう終わりたいか」を叶える最後の伴走者であること。
医療が「命を守るプロ」だとすれば、介護は「命をどう使うかを支えるプロ」です。
④ 「介護2.0」という進化
私たちが目指す介護2.0は、こうした目的を日常業務の中心に据え直す取り組みです。
ケアを「作業」から「成果」に変える
成果を見える化し、スタッフの自己効力感を高める
看取りを恐れず、最期まで寄り添う文化をつくる
⑤ 実現に向けた取り組み
具体的には、こんなことを行います。
利用者ごとに「今月のゴール」を本人・家族と一緒に設定
ケア成果の見える化(食事量・活動量・笑顔の回数など)
看取り研修・ロールプレイ・事例共有で経験値を積む
成果発表会や家族感謝イベントで、介護の価値を社会に伝える
⑥ 結び:仲間への呼びかけ
私たちが積んでいるのは、単なるレンガではありません。私たちは、「自分らしく生き切れる場所」という“教会”をつくっているのです。
この想いに共感してくれる仲間が増えれば、介護の景色はきっと変わります。一緒に、介護2.0の時代を作っていきましょう。
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