top of page

在宅医療:「治す」ことより「支える」医療

■「治す医療」から「支える医療」へ

病院医療の多くは、病気を治すことに重点が置かれています。一方で在宅医療は、その人らしい暮らしを支えることが目的です。

例えるなら──

  • 病院は「手術で痛みを取る」ことを目指しますが、

  • 在宅医療は「痛みがあっても、家族と一緒に食卓を囲む」ことを大切にします。

■治せないとき、医療は無力なのか?

病気が治らないとき、医療は無意味になるのでしょうか?そんなことはありません。

「夜、寒くないように加湿器を置いてほしい」「食べたいものが食べられるよう工夫してあげたい」「不安で夜に何度も電話をくれる。でも、それで安心するならそれでいい」

在宅医療では、そんな一つひとつの支援が、“その人らしい最期”を支える力になります。

■支える医療の価値とは

  • 会話や表情を見て変化を読み取る

  • ご家族の疲れや迷いをくみ取る

  • ときには看取りの場でそっと手を握る

こうした“治療ではない医療”こそ、暮らしを支える医療の本質です。


■「夜中に電話してすみません。でも、声が聞きたくて」

初診で伺ったのは、末期がんの80代女性。退院後すぐに在宅へ戻る決断をされたご家族でした。

ご本人はしっかりしており、「家で最期を迎えたい」とはっきり話していました。でも夜になると、体の痛みと不安で涙が出る。

そんなとき、当院の看護師が夜間対応で話を聞きました。そのときの一言がこちら:

「夜中に電話してすみません。でも、誰かが“知っててくれてる”って思えるだけで安心なんです」

治療ではなく、不安な心に寄り添うこと。これも立派な医療です。

■「点滴をしない」ことが、最善だったケースも

ある男性患者さんは認知症と慢性疾患のある90代。ご家族が「食事をあまり取らなくなった」と不安を訴え、点滴を希望されました。

ですが、診察を続けるうちに、ご家族自身が「無理に生かすことが本人の望みではない」と気づかれていきました。

最後は自然な形で眠るように亡くなられたのですが、看取りの後、ご家族からいただいた言葉が胸に残っています:

「“食べられない=医療介入”じゃないと知れてよかったです。あの時間が、父と過ごせた最も優しい日々でした」

“しない選択”を支えるのも、医療者の仕事です。

■「病院では見えなかった母の暮らしが、ここにはあった」

自宅での療養に切り替えたことで、“患者”ではなく“母”として過ごす時間が増えた──そう話してくれたご家族もいらっしゃいました。

「点滴や検査に追われていた病院の頃より、やっと“母”に戻れた気がしました。今、ここにいる時間が何より大切です」

■「支える医療」は、命の“質”を守る医療

治すことができなくても、苦しみや不安を減らし、その人らしい時間を支えることはできる。

それが、在宅医療が目指す「支える医療」です。

そしてその根底には、**“聞く”“寄り添う”“ともに考える”**という関わり方があります。

📞 お問い合わせ 逢縁クリニック

📍札幌本院:札幌市北区北33条西2丁目1-15 KANTINE

📍白老町:白老町東町4丁目6-7 白老町総合保健福祉センター(いきいき4・6)内 📞TEL:070‑9003‑3302 📧Mail:o-en@o-enclinic.com

 
 
 

最新記事

すべて表示
救急車を呼ぶべき?夜間の発熱・呼吸苦の判断目安(家族向け)

訪問診療が入っていると「救急車じゃなくて往診」で一安心できることも 夜中の発熱や呼吸苦は、家族がいちばん迷う瞬間です。 「救急車を呼ぶべき?でも大げさ?」 「朝まで様子見?」——この判断がつらい。 ここで知っておいてほしいのは、 訪問診療(在宅医療)が入っているご家庭は、“救急車一択”じゃないケースがある ということ。 電話相談 → 必要なら往診 というルートで、不安を早く落ち着かせられる場面があ

 
 
 
「かかりつけ医がいる」場合の訪問診療:併診・紹介の考え方(家族・ケアマネ向け)

「昔から通っている先生がいるけど、通院が難しくなってきた」 「かかりつけ医を変えたくない。訪問診療は頼める?」 「併診ってできるの?」 この相談はとても多いです。結論から言うと、 “かかりつけ医がいる=訪問診療はできない”ではありません。 ただし、在宅では 役割分担  と 紹介(情報共有)  の設計が重要になります。 まず前提:在宅は「主治医」を誰にするかがポイント 訪問診療は、単発の往診ではなく

 
 
 
ケアマネに相談すべき?医療機関に直接相談すべき?ケース別ガイド(迷った時の早見表)

在宅の相談って、最初の一歩が一番むずかしいです。 「ケアマネに言うべき?」 「病院(クリニック)に直接電話していい?」 「包括支援センターって何をしてくれるの?」 結論はシンプルで、 “困りごとの種類”で相談先を変える のが正解です。この記事では、よくあるケース別に、どこへ相談すると早いかをまとめます。 まず早見表:相談先の基本ルール 病状・薬・急変・検査など“医療”が中心  → 医療機関(かかり

 
 
 

コメント


逢縁クリニック

診療時間 月〜金 9:00~17:00

北海道札幌市北区北33条西2丁目1-15 KANTINE 2-3F

bottom of page