熱中症は“室内”で起きる?在宅医療ができる予防と対応
- 恭祐 昼八

- 8月14日
- 読了時間: 3分
「熱中症」と聞くと、炎天下の屋外で起こるものというイメージが強いかもしれません。しかし実際には、ご高齢の方を中心に**“自宅の中で”発症するケースがほとんど**です。
とくに在宅療養中の方にとって、熱中症は見逃せないリスク。この記事では、熱中症の基本から、在宅医療でできる対応まで、わかりやすく解説します。
🔸なぜ熱中症は「室内」で起こるのか?
高齢者は、以下の理由から体温調節がうまくいかず、室内でも熱中症になるリスクが高まります。
のどの渇きを感じにくくなる
汗をかきにくくなる
暑さを感じにくくなる
エアコンを「我慢」してしまう
持病の影響(心疾患、認知症など)
これらが重なると、たとえ室温が30度以下でも体内の熱がこもってしまい、自覚のないまま脱水・高体温が進行してしまいます。
🔸熱中症の症状と重症度のサイン
軽度(I度) | 中等度(II度) | 重度(III度) |
めまい、立ちくらみ、こむら返り | 頭痛、吐き気、倦怠感、虚脱 | 意識障害、けいれん、高体温(40度以上) |
軽症でも「なんか元気がない」「昼寝が長い」など、ささいな変化を見逃さないことが大切です。
🔸在宅医療・訪問看護での熱中症対策
■ 訪問診療(医師)
定期的なバイタルチェック
必要時の血液検査(電解質や脱水評価)
点滴による水分・電解質補充
体温管理と服薬調整
生活環境(室温・湿度)の助言
■ 訪問看護(看護師)
水分摂取量の記録・指導
冷却グッズの使い方指導(氷枕、冷感タオルなど)
エアコン利用の声かけ(「つけてもいい理由」を説明)
ご家族へのサポートと見守り
体温上昇の初期サインに敏感なモニタリング
🔸実際にあった事例から
ある90代の女性。エアコンが苦手で、毎年「扇風機だけ」で過ごしていました。
ある日、いつもより反応が鈍く、体温は38.5度。熱中症を疑い、在宅で点滴を実施しました。幸い翌日には意識も戻り、大事には至りませんでしたが、ご家族は「まさか室内で…」と驚いていました。
以後、我慢せず冷房を使うようになり、ご本人のQOLも改善。熱中症は“防げる病気”だと実感したケースでした。
🔸「我慢しないこと」が最大の予防
高齢者にとって、暑さやのどの渇きは「感じにくい」もの。「まだ大丈夫」は、実はすでに危険ゾーンかもしれません。
だからこそ、**“周囲が気づくこと”**が熱中症予防の第一歩。私たちは、医療の視点からその“違和感”を丁寧に拾い、必要な介入を最小限で届ける在宅医療を実践しています。
🔸まとめ
熱中症は、気づかないうちに忍び寄る“命のリスク”です。エアコンを嫌がる、飲水量が減ってきた、なんとなく元気がない…。そんな日常の小さなサインを見逃さないよう、私たちがお手伝いします。
在宅医療だからできる、“その人の暮らし”に合わせた予防と対応を。お気軽にご相談ください。
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