老衰の「点滴問題」——最期の時間をどう過ごす?在宅医がやさしく整理
- 恭祐 昼八

- 14 分前
- 読了時間: 3分

3行まとめ
老衰で食べられない・飲めないは、からだの自然な変化として起こります。
点滴にはメリットも限界もあります。目的と期間を決めて使うのがコツ。
口渇は口腔ケアと湿らせるケアが最も効きます。迷ったら“試してみて見直す”でOK。
「老衰で食べない/飲まない」とは
体力・臓器の働きがゆっくり低下し、空腹や喉の渇きを感じにくくなります。無理に摂ると、むせ・誤嚥・腹部不快が強くなることも少なくありません。
目標は「栄養を入れること」ではなく、苦痛を減らし穏やかに過ごすことに移っていきます。
点滴のメリットと限界
メリット(合う場面)
発熱・下痢・一時的な脱水でからだがしんどいとき
内服できない時期の疼痛・不穏・吐き気の薬投与
短期間の回復見込みがあるとき(感染後の回復期など)
限界・副作用(合わない場面)
むくみ・呼吸苦・痰増加・尿の負担
心不全や腎機能低下で苦しくなることも
穿刺の痛み・針の違和感、管が動きを制限
誤嚥を減らす効果は基本的にない
「喉が渇いてかわいそう」には、点滴より口腔ケアの方が楽になることが多いです。
口渇には“湿らせるケア”
口腔ケア:スポンジブラシ・ガーゼで口の中を清潔に
保湿:口腔保湿ジェル、唇のワセリン
氷片や少量ゼリーで“口を潤す”
体位:半座位で呼吸が楽に
室内環境:加湿・清潔なリネン・静かな音環境
どう決める?5つのステップ(家族と医療者の共通手順)
目的を決める:「喉の不快を和らげたい」「吐き気止めを入れたい」など具体的に。
方法を選ぶ:点滴(静脈)だけでなく、在宅に合う**皮下輸液(皮下注・少量持続)**も選択肢。
量と期間を決める:例)500〜1000mL/日・48〜72時間など。
中止基準を決める:むくみ・痰ふえる・苦しそう→いったん止める。
見直す:家族の実感・本人の表情をいちばん大事に、やってみて調整。
逢縁クリニックは、症状の“山”を同日〜翌日で下げる運用を基本とし、点滴以外の選択肢も一緒に整えます。
よくある質問
Q. 点滴をしないと苦しみませんか?
A. 多くの方は苦しみが増えるわけではありません。口腔ケアや姿勢調整で、むしろ穏やかになることがよくあります。
Q. 食べられないのに薬はどうする?
A. 可能な限り貼付剤・坐薬・皮下注に切替えます。不要薬は減薬します。
Q. 家族の気持ちが揺れます。途中で方針を変えてもいい?
A. いつでも変更OK。その時のご本人の楽さをいちばんに、試して見直す進め方で大丈夫です。
Q. 在宅で看取りたい。何を準備すれば?
A. 連絡手順(誰に・何分で)/疼痛・不穏へのレスキュー薬/口腔・皮膚ケアの物品。葬儀の事前相談もつなげます。
家族ができる“やさしい介護”
手と顔の清拭・保湿、好きな香りを少し
声かけ・触れるケア(手を握る、背中をさする)
音・光・温度を静かで心地よく
できる範囲で好きだった味を一口(嚥下が安全な形で)
まずはご相談ください
「点滴をした方がいいのか」「苦しくない方法を選びたい」——質問からでOK。ご自宅で評価→選択肢の整理→“やってみて見直す”設計まで、医師・訪問看護と伴走します。
📞 お問い合わせ逢縁クリニック
📍札幌本院:札幌市北区北33条西2丁目1-15 KANTINE
📍白老町:白老町東町4丁目6-7 白老町総合保健福祉センター(いきいき4・6)内
本記事は一般的な解説です。個別の医療判断は診察のうえでご提案します。







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