訪問看護ステーションの「特別指示書」を出せるとき
- 恭祐 昼八

- 11月15日
- 読了時間: 4分

— 老衰=対象外じゃない。終末期・急性増悪・退院直後は**医療保険の“特指”**で守る
末期・看取り期や急な増悪なのに、「老衰だから」「介護保険で週7回来て」で**特別訪問看護指示書(以下、特指)を出してもらえない——そんな相談を、札幌市内の訪問看護さんから時々いただきます。現場、本当にお疲れさまです。この記事は正しいルールと運用の“よりどころ”**を、一次情報ベースでぎゅっと整理しました。
まず結論(超要約)
特別指示書は“週4回以上の頻回訪問が一時的に必要”なときに、医師が診療に基づき発行する指示です(急性増悪、終末期、退院直後など)。有効は“診療日から14日以内”。原則月1回(気管切開カニューレ使用/真皮を越える褥瘡は月2回まで特例)です。 Clinical Support+1
要介護の方でも、特指期間中や「基準告示の疾病等」の場合は医療保険の訪問看護を算定可。介護保険が常に優先、ではありません。 厚生労働省
「老衰だから特指は出せない」は誤り。**終末期(がん以外も含む)**は特指の代表的事由として明記されています。 厚生労働省+1
公式ルールを“根拠つき”で整理
1) いつ出せる?
急性増悪/終末期/退院直後 等で、週4日以上の頻回訪問が一時的に必要と医師が判断したとき。
診療に基づく発行が前提(診療なしに日付だけ切るのは不可)。 Clinical Support+1
2) どれくらい使える?
有効期間:診療日から14日以内。
回数上限:原則 月1回。ただし ①気管カニューレ使用/②真皮を越える褥瘡は月2回まで可。 地方厚生局+1
3) 介護保険の人は?
原則、介護>医療の優先ですが、 特指期間/基準告示の疾病等/精神科訪問看護などは医療保険で算定可能。
したがって、看取り期を“介護で週7回”に振る前に、特指を検討するのが筋です。 厚生労働省
4) 実務の注意
特指だけでは訪看できません。通常の訪問看護指示書に“追加で”交付が原則。 クローバー訪問看護ステーション
特指中は(状態に応じ)週4回以上や日複数回の運用が可能です。計画・記録で必要性を明記。 地方厚生局+1
よくある“誤解”と正しい解釈
誤解①:老衰は病名だから特指は無理→ 終末期はがんに限られません。非がんのターミナル(高度心不全・神経難病・老衰末期 など)も、一時的に頻回訪問が必要なら特指の適応です。 厚生労働省
誤解②:要介護は介護保険でやるのが原則→ 原則はその通りですが、特指や“疾病等”該当時は医療保険。給付調整の例外が制度上きちんと用意されています。 厚生労働省
誤解③:医師が翌日付で切ってもOK→ 特指は“診療日から14日”が原則。診療に基づく発行であることが前提です。 大阪府訪問看護ステーション協会 |
ステーション向け:主治医へお願いするときの“依頼テンプレ”
件名:特別訪問看護指示書のご検討依頼(終末期/急性増悪/退院直後) 〇月〇日診療の〇〇様について、以下理由で週4回以上の一時的頻回訪問が必要と判断しています。 ・現状:📈体温/SpO₂/疼痛VAS/不穏状況 等・医療的ケア:吸引回数、補液、疼痛コントロール、褥瘡ケア 等 頻回の必要性:夜間急変リスク、与薬調整、家族教育の集中実施 等診療に基づく「特別訪問看護指示書」発行をご検討ください。(診療日から14日・原則月1回、該当あれば月2回) ※通常の訪問看護指示書は既に発行済み/同時交付をお願いします。
発行を渋られたときの“やさしい根拠提示”(コピペ可)
「終末期等で週4回以上の一時的頻回が必要なときに特指、診療日から14日が有効——と診療点数の取扱いに明記されています」 Clinical Support
「要介護でも、特指期間中は医療保険算定可という給付調整の留意事項があります」 厚生労働省
情報発信のお願い(医療機関側へ)
ウェブや配布資料で**「〇曜日は対応しません」等の誤解を招く表現は、特指や24時間体制の趣旨とズレます。“誰が・いつ・どう動くか”(自院/連携、往診/訪看/搬送判断)を、患者・家族・施設に等しくわかる言葉**で。 地方厚生局
逢縁クリニックの運用宣言(札幌)
まとめ
特指は“例外措置”ではなく、在宅の安全地帯。老衰だから——ではなく、“終末期という状態”に着目して、医療保険の正しい使い方で看取りと生活を守りましょう。訪問看護ステーションの皆さん、困ったときは根拠を一緒に整えて主治医に届けます。遠慮なくご相談ください。
📞 お問い合わせ逢縁クリニック
📍札幌本院:札幌市北区北33条西2丁目1-15 KANTINE
📍白老町:白老町東町4丁目6-7 白老町総合保健福祉センター(いきいき4・6)内





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