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食べない・飲まない高齢者への対応|訪問診療が支える“受け入れの時間”

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「急に食べなくなった」「水分もほとんど取らない」。


在宅でよく頂くご相談です。感染症や薬の副作用、便秘・口内トラブルなど治療で改善する原因もありますが、老衰のプロセスとして起こることも少なくありません。


大切なのは、原因を見極めることと、家族が現実を理解し心の準備を整える時間を確保すること。訪問診療の役割はその両輪です。


1|「老衰かも?」と思ったらまず観察するポイント

  • 発熱・咳・腹痛・嘔吐・下痢などの急性症状はないか

  • 便秘/排尿の変化(3日以上の便秘・尿量減)

  • 口腔内:舌や口の乾燥、痛み、入れ歯の不具合

  • 眠気の増加・日中のうとうと(体が“省エネモード”に入るサイン)

  • ふらつき・転倒、意識のぼんやり▶︎ 高熱・強い息切れ・急な意識低下があれば、すぐに連絡を。

2|よくある誤解

  • 「食べさせないと弱る」→ 老衰期は体が食べ物を必要としにくくなる。無理は苦痛につながることも。

  • 「点滴をすれば元気になる」→ むくみ・呼吸苦・吸引増加などでかえってつらくなる場合があります。

  • 「何もしないのは見捨てること」→ いいえ。痛みや不安を減らし、穏やかに過ごす選択も立派なケアです。


3|訪問診療が支える“受け入れの時間”

①評価(アセスメント)

  • バイタル・身体診察・口腔評価・便尿・薬剤チェック

  • 必要に応じ採血や尿検査で脱水・感染などを確認

②共有(インフォーム&対話)

  • いま体で起きていることをわかりやすく言葉と図で説明

  • 「できること/しない方がよいこと」を利点・不利益とセットで提示

③選択(本人・家族の価値観を尊重)

  • 点滴の是非、食形態、夜間対応、看取りの場所…

  • その人らしさを最優先に、少しずつ決めていく伴走

いきなり「老衰です」と告げて終わりではありません。理解→納得→選択のサイクルを、何度でも一緒に回します。

4|“無理なく・心地よく”のための実践ヒント

  • 一口でOK:少量・高カロリー・好きな味を「食べられる時に食べられる分だけ」

  • とろみ・ゼリー:むせ防止。氷シャーベットや果汁も◎

  • 口腔ケア:濡らしたガーゼやジェルで口を潤すだけでも楽に(誤嚥予防にも)

  • 体位調整:30°側臥位・クッションで楽な姿勢を

  • 夜間の不安対応:連絡先を冷蔵庫に掲示/「困ったらまず電話」の約束

  • 点滴の判断:苦痛軽減が見込める少量補液に限定/**“やらない勇気”**も選択肢

5|家族がつらくならないための声かけ例

  • 無理に食べさせないことも、やさしいケアです」

  • 口を潤す・そばにいるがいちばん効く薬のこともあります」

  • 「今日はここまでできた。それで十分です」

  • 「迷ったら一緒に立ち止まりましょう

6|よくある質問(Q&A)

Q. 何も食べないなら入院した方が良い?A. 目的が「治療」か「穏やかに過ごす」かで異なります。在宅での緩和ケアで十分なことが多く、入院がかえって負担になる場合も。

Q. 便や尿が少ない/出ないA. 便秘調整・お薬見直しで改善することがあります。我慢させずに相談を。

Q. どのタイミングで看取りの相談を?A. 早いほど準備が整い、慌てない最期につながります。いつでもどうぞ。

まとめ

「食べない・飲まない」は、治す対象のことも、見守る対象のこともあります。訪問診療は、からだの評価心の準備を同じくらい大切にし、家族とともに**“その人らしさ”を守る選択**を重ねていきます。迷ったら、短い相談からはじめましょう。


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📍白老町:白老町東町4丁目6-7 白老町総合保健福祉センター(いきいき4・6)内

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