高齢者が急に食べなくなった…原因と対処法|訪問診療ができること(札幌・在宅医)
- 恭祐 昼八

- 15 分前
- 読了時間: 4分

まずは3行まとめ
「急に食べない」は脱水・感染・便秘・薬の副作用・嚥下(飲み込み)の問題など、原因が複数絡みます。
放置は誤嚥性肺炎・腎機能悪化・せん妄につながることも。早めの評価と手当てが大切。
訪問診療なら自宅で原因の切り分け→点滴・薬調整・食形態調整・口腔/栄養支援までワンストップで対応できます。
よくある原因(まず疑う10項目)
脱水(水分摂取↓/利尿薬・下痢)
便秘(食欲低下・腹部不快)
感染症(発熱・尿路感染・肺炎・帯状疱疹など)
薬の副作用(鎮痛薬・向精神薬・抗コリン薬・降圧薬の一部)
嚥下障害(むせる/食後の咳/痰が増える)
口腔トラブル(義歯不適合・口内炎・歯周病・乾燥)
痛み(がん性疼痛・帯状疱疹・関節痛)
認知症の進行・せん妄(昼夜逆転・落ち着きがない)
こころの不調(抑うつ・不安・喪失体験後)
環境変化(入退院直後・引っ越し・同居人の変化)
原因は複数同時に起きていることが多く、1つの手当てだけでは改善しないケースが珍しくありません。
家族ができる初期対応(安全の確認)
水分:こまめに一口ずつ(経口補水液やお茶)。むせるならとろみで。
体温・尿:発熱/尿が少ない・濁る・においが強い→要連絡。
便通:3日以上出ていない/苦しそう→記録して伝える。
むせ・咳:食事中/後に咳こむ・痰が増える→やわらかい食形態へ変更し様子見。
お薬:新しく始めた薬・量を増やした薬をチェック。
無理はNG:食べられないのに“頑張らせる”のは誤嚥のリスク。少量高頻度に切り替えましょう。
受診の目安(赤・黄・緑)
🔴 すぐ連絡/受診:ぐったり・口が渇き皮膚が冷たい/呼吸が速い/39℃以上の発熱/急な意識の変化・せん妄/食事中に強くむせる
🟡 当日〜翌日相談:食事量が半分以下が2日以上続く/便秘3日以上+腹部不快/新規薬開始後に食欲低下
🟢 見守り+記録:食事量は落ちたが水分は取れる・熱なし・むせ軽度
訪問診療でできること
その場の評価:診察、バイタル、在宅採血・尿検査・心電図、必要に応じ携帯エコー
脱水への対処:点滴、内服調整(利尿薬などの見直し)
便秘ケア:座薬・下剤調整・摘便、食物繊維/水分/運動の再設計
感染症対応:培養・抗菌薬、熱の管理
嚥下/栄養支援:食形態の調整(きざみ→ソフト・ゼリー・とろみ)、少量高カロリーの提案、ST・栄養士と連携
口腔ケア:口腔内の清掃指導、義歯調整の手配、訪問歯科へ接続
薬剤整理:眠気・食欲低下を起こしやすい薬の減量・切替
疼痛コントロール:貼付剤・内服・在宅持続皮下注など
逢縁クリニックは、症状の“山”を同日〜翌日で下げる運用を基本にしています。
すぐ役立つ「観察メモ」テンプレ
① 食事量(主食/主菜/副菜)と水分量
② 体温、尿の回数/色、便通の日付
③ むせ・咳・痰の有無(食前/食中/食後)
④ 直近で変えた薬・サプリ
⑤ 痛み・発疹・口内の痛み
⑥ ここ数日の出来事(環境変化やストレス)
この6点があると、原因の切り分けと初動が格段に早くなります。
よくある質問
Q. 何日食べなければ危険?
A. 年齢や持病次第ですが、水分が入らない状態は24時間以内にご連絡を。食事は2日程度で相談を。
Q. 点滴だけしてもらえますか?
A. 可能です。ただし原因の評価と並行して、再発しない設計(便秘ケア・食形態・薬調整)を行います。
Q. 家で看取りたいが食べない。どう向き合えば?
A. 苦痛をととのえ、“無理に食べさせない”選択も尊重されます。緩和ケアの視点で水分・口腔ケア・家族の不安軽減を中心に支援します。
予防のコツ(“食べ続けられる”を設計する)
水分の習慣化:1日6〜8回の“ひと口ルール”
便秘ゼロ設計:毎日の排便スケジュールと“詰まった時の合図と手順”
薬の棚卸し:眠気・乾燥・便秘を招く薬の定期見直し
口腔ケアの固定化:1日2回/**週1の“しっかりケア”**を家族・訪看と
食形態の柔軟化:体調に合わせてすぐ変えられる選択肢を常備(ゼリー・濃厚流動食・高栄養プリン等)
まずはお気軽に
「急に食べない」「むせが増えた」「水分が入らない」—質問からでOKです。ご自宅で原因の切り分け→当面の回復プランまで伴走します。
📞 お問い合わせ
逢縁クリニック
📍札幌本院:札幌市北区北33条西2丁目1-15 KANTINE
📍白老町:白老町東町4丁目6-7 白老町総合保健福祉センター(いきいき4・6)内







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